「現場をいくら回しても、利益が残らない」
下請け、さらにその下の孫請けという立場で施工業を続けている職人・親方の方であれば、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、九州地方で塗装・リフォーム系の施工業を営むある親方の実例です。大手の元請けからの下請けという立場から、Web広告を使って直請けの案件を増やしていった、その過程を現役のWeb広告講師の視点でお伝えします。
直請けを目指したきっかけ
この親方は、九州地方で長年塗装・リフォーム系の施工業に携わってこられた方です。抱えていた悩みは、施工業に携わる方なら聞き馴染みのあるものだと思います。大手の元請けから仕事を回してもらえてはいるものの、平米単価を抑えられ、現場を回せば回すほど忙しくなる一方で、手元に残る利益はなかなか増えない。「このままだと若い衆を食わせていけない」という危機感が、Web広告を学ぼうと決めた一番の理由だったと聞いています。
こうした下請け構造の中では、いくら腕が良くても、価格決定権が自分の手元にないというのが最大の問題です。直請けの案件を増やすということは、単に売上を増やすという以上に、「自分の仕事の価値を自分で決められるようになる」ということでもあります。
「型通り」より「今すぐ成果」を選んだ理由
実はこの親方を担当する前、別の講師が先に指導を担当していた時期がありました。検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告と、順番に基礎から学んでいく標準的なカリキュラムに沿って進めていたようです。
ただ、私が引き継いでお話を伺った際に感じたのは、ご本人が求めていたものと、提供されていた指導の進め方に少しズレがあったのではないか、という点でした。教科書通りに広告の種類を一つひとつ学んでいくスタイルは、もちろん土台としては正しいのですが、この親方が本当に欲しかったのは「とにかく早く、発注につなげる実感を得ること」でした。理論を一通り学び終えるのを待つ余裕は、現場を抱えながら受講している身では、正直なところなかったのだと思います。
そこで、標準カリキュラムをベースにしつつ、受講期間中から実際に広告を出稿してもらう形に切り替えました。週1回の講義の時間は、座学だけでなく「今、件数は取れているか」「どの広告が反応しているか」を一緒に確認する進捗会議のような形に変えていきました。理論を全部学んでから動くのではなく、動きながら理論を必要な分だけ補っていく。現場仕事をしている方への指導としては、このやり方の方が合っていたのだと思います。
月10〜15万円の広告費で何が起きたか
広告費の規模感としては、決して大きくありません。月によっては10万円に届かないこともある中で、月10〜15万円程度の予算で運用を続けていました。
その規模の広告費で、50万円規模の受注が入り、さらにその後、100万円規模の受注につながる案件も出てきました。広告費に対して、これだけの受注が継続的に発生するというのは、費用対効果として非常に良い状態です。これを単発ではなく繰り返し実現できたことで、「広告は出せば出すだけ無駄になるもの」ではなく「直請け案件を生み出す装置」として機能するようになっていきました。
結果的に、大手からの二次受け・孫請けという立場よりも、はっきりと売上が立つ状態になっていったと記憶しています。
「綺麗なサイト」じゃなくても発注は来る
もう一つ、この実例から学べることがあります。それは、ホームページの「見た目の綺麗さ」と「発注につながるかどうか」は、必ずしも一致しないという点です。
この親方が使っていたのは、大手の制作会社に依頼した洗練されたサイトではなく、ご自身でWixを使って組み上げたサイトでした。デザインとしては決して凝ったものではありません。ですが、自分で撮影してきた実際の施工現場の写真を、その都度サイトにアップロードして施工例として見せるということを徹底されていました。
広告の受け皿となるサイトに本当に必要なのは、「誰が、どんな施工をしているのか」が伝わる安心感です。フリー素材の綺麗な写真よりも、多少粗くても本人が撮った現場の写真の方が、見る側に伝わる説得力は強いことがあります。デザインにお金をかけることよりも、必要な要素を漏れなく押さえることの方が、結果につながるケースは多いです。
直請けが増えることで何が変わるのか
この取り組みが進んだ頃、印象的だったことがあります。ある講義の際、「もうこれで十分です、しっかりやっていけそうです」と話され、その日は少し早めに切り上げて、別の予定に向かわれたことがありました。仕事の話だけでなく、プライベートの時間にもゆとりが持てるようになった様子が伝わってきて、こちらとしても嬉しく感じた場面でした。
直請けの案件が増えるということは、クライアント側にとっても、職人側にとっても、両方にメリットがある構図です。中間マージンが発生しない分、クライアントは同程度の質のサービスをより安く受けられますし、職人側は受注額がそのまま自分の利益として残るため、収益性が大きく改善します。
もし今、大手の下請け・孫請けという立場で「現場を回しても利益が残らない」と感じているなら、この親方のように、小さな広告予算からでも直請けへの一歩を踏み出すことは十分に可能です。
具体的な始め方は、施工業者が直請け化を目指すWeb集客ロードマップで、LP・少額広告・継続改善の順に整理しています。
自社で広告を動かせる状態を目指す場合は、Web集客 自走支援の内容もご確認ください。
よくある質問
Q. 職人が自分でWeb広告を出すとき、一番やってしまいがちな失敗は?
A. 「外壁塗装」のような検索数の多いビッグキーワードにそのまま広告を出してしまい、無駄なクリックが増えて予算が早く尽きてしまうことです。地域名や施工形態を組み合わせた、競合の少ないキーワードに絞ることが重要です。
Q. ホームページは綺麗に作らないと広告の効果が出ない?
A. デザインの美しさよりも、施工実績の写真や問い合わせのしやすさなど、訪問者が知りたい情報がきちんと載っていることの方が重要です。自作のシンプルなサイトでも、必要な要素が押さえられていれば受注につながります。